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くるりを聴きながら鴨川沿いをのんびりと歩いてみた

kawai yusuke

出町座ができて久しい。あの辺りのエリアは以前にも増して盛り上がっており、もはや衰えを知らない。そこで今回は四条河原町から出町柳まで足を伸ばしたいと思う。

そんなわけで今日は鴨川沿いを歩く。川沿いを歩けば信号に引っかかることが無い。当たり前だが、見落としがちな事実だ。

陽ざしが柔らかなこの季節。
底冷えする冬は終わり、蒸し暑い夏はまだもう少し先だ。
この機会を逃すわけにはいかない。しつこい冬だってもう終わってしまった。春は尚更、待ってくれない。

京都といえばくるり。
くるりといえば京都だ。

筆者の愚直さは認めるが、この命題に文句をつけることは誰にもできまい。

この記事ではくるりを聴きながら鴨川沿いを歩いて四条河原町から出町柳まで上がっていく。

◇河原町

阪急河原町駅出入り口

今回のスタートの河原町。

四条通り

拭いきれぬシティ感を身に浴びせながら鴨川へと向かう。
出町柳のあたりがロサンゼルスとするならこちらは差し詰めニューヨークといったところだろうか。

◇四条~先斗町公園(5分)

四条通り〜鴨川

この鴨川に沿って歩いていく。さて、ここからはお待ちかねくるりの音楽と共に歩き進めていきたい。

スタート(鴨川沿い)

「シャツを洗えば」(4分13秒)

雲ひとつない青空

ですって。いやまあ雲はあるけど、そこは勘弁して欲しい。
それにしても天気は良い。それも三寒四温の「温」の日だ。同じ気温でも春本番よりずっと心地よい。

鴨川名物等間隔のカップル

イヤホンを伝って耳に届けられる歌声と演奏も申し分ない。
すでにも鮮やかすぎる光景をさらに素敵な音楽で彩って好調の出だし。気持ちはスッキリと爽やか。いわゆる「鴨川等間隔」にも今日はさほど怨念を抱くことはない。

鴨川沿い(桜の木)

そんなわけで早々と先斗町公園の裏まで到達。
余裕だ。

◇三条~御池(2分)

鴨川沿い(ジョギング、サイクリングロード)
かんがえがあるカンガルー(2分26秒)

ビヨヨ~ンと軽快な音は序盤のブーストに丁度良い。

「かんがえがある」とだけ連呼しまくるが肝心のその内容の一切を保留し、仕舞いにはあろうことか眠くなってしまうカンガルー。

「京都といえば、くるり!」と恐ろしく安直に企画を立てて勝算もあまり無いまま取材に来た筆者の状況とぴったり重なる。

とはいえ僕にも考えがある。どうかお付き合いいただきたい。

◇御池~丸太町(10分)

鴨川沿い(御池)

あれよあれよと言う間に御池。しかし御池を過ぎてから時間の体感がおかしい。

鴨川沿いを歩いているというよりかは無限の九十九里浜を歩いて居るような気分だ。
なんだこれは。相対性理論か?箱買いしたコントレックスが鞄に仕込まれているのか?と疑いたくなるほど足取りが重い。なんだこれは。

おんなじような景色が続いているような気がする。

鴨川沿い(対岸)

向かい岸はそれなりに綺麗だ。
あっち側を選べばよかっただろうか。ない物ねだりだが仕方ない。
ただ隣の芝生へ足を運ぶには川を渡らなければならない。

今の僕の心境、さしずめこんな感じです。

くりかえしのMUSIC feat. 岸田繁(くるり)- tofubeats (6分11秒)

退屈かといえばそうでもないけど、展開がない。
別にこの記事の足しになる面白いエピソードが転がっているわけでもない。

物事の芯を捉えて吐き捨てる女子高生などいやしない。
ここは虚構世界のマクドナルドではなくノンフィクションの鴨川沿いだ。

ワンダーフォーゲル(4分33秒)

いや何千マイルもは歩いていないので恐縮だ。
ええこと言うてはる歌を聴いて「いや自分そこまで頑張ってないな」と
我が身を卑下する形で自分を鼓舞していく。まだ先は長い。

◇丸太町~デルタ(25分)

鴨川沿い(丸太町)

ようやく丸太町に。ここからもう少しある。
Google Mapsを開くと河原町から目算してまだ半分に到達していない。

それでも相変わらずくるりは歌うのを止めない。

鴨川中州

旅の途中(2分32秒)

次のバス停まで歩こうよ?
甘い甘い甘い。やかましい。こっちは京阪電車3駅分を歩こうとしてるねん。

鴨川沿い

everybody feels the same (3分47秒)

ヘイタクシー 退屈させないで?

ああ、なるほど。乗っても良いよね、タクシー…………

いやいやいや駄目駄目。自分で立てた企画だ。自分でまっとうしないでどうするんだ?

鴨川沿い(欄干工事中)

ナイトライダー(3分38秒)

歩く速度じゃつまらない……

そうかもね。歩くなんてつまんないよね……。
駄目だ、心が折れそうだ。否。すでにバキバキに折れている。
再度これを接ぐことはできないだろうか。

ロックンロール(4分12秒)

進めビートはゆっくり刻む
足早にならず確かめながら
涙を流すことだけ不安になるよ
この気持ちが止まらないように

これだ。これだ。この気持ちを忘れずに進んでいこう。

尼崎の魚(4分32秒)

まだ着かない。
そうだ。俺は尼崎の魚だ。兵庫に帰ろう。
阪急電車に乗って十三で乗り換えるんだ……。

はい、すみません。
普段「西宮に住んでます」と言っていますが、僕の住む武庫之荘は西宮みたいでギリギリ尼崎市です。はい。すみません。僕が悪いです。

俺は弱い。弱い魚さ。尼崎の弱い魚。
おとなしく天国のドアを叩いて眠りにつきます。さようなら。

お祭りわっしょい(2分51秒)

いかんいかんいかん。

「デデデデンデゲデン」と軽快なリズムで気持ちを無理矢理に鼓舞していく。

How Can I Do?(3分48秒)

河川敷の幅も広くなってきた。ゴールは近い。月並みな言葉だが「頑張れ」以外に自分にかけてやる言葉はもう見つからない。

その線は水平線(5分41秒)

働いたぶんだけ
陽の光浴びればいい

そんな風に労ってくれるのはもう僕にはくるりしかいない。
輝かしいゴールだ。

◇結論

四条通り〜鴨川

河原町から出町柳、1時間あれば十分歩ける。
くるり換算で大体12曲分くらい。

どうしても疲れてしまった場合もいちいちカフェなんて探さなくても、すぐそこに座ってしまえば問題ない。休憩したい時に休憩したい所で、休憩したい分だけ。好きなだけ休んで構わない。チャージ料もワンドリンクも必要ない。

帰りくらいは電車で帰ってもバチは当たらないだろう。

みなさんも是非お試しあれ。

この季節ならではの豊かな時間の過ごし方ではないだろうか。1時間もあれば京都からなら新横浜くらいまでは行けるかもしれない。しかし、新幹線の中でじっとしているのと、のびのび鴨川を歩いて移動するのとどちらが本当に贅沢なのだろうか?

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kawai yusuke
1995年生。京都出身、兵庫県在住。お散歩と喫茶店が好きで最近は銭湯もマイブーム。大学在学中から映画ライターとしての活動を始め、現在複数のWeb媒体に寄稿中。

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