お座敷遊びと聞いてみなさんはどんなイメージが湧くでしょうか。
- 一見さんお断り
- お値段が高い
- 前知識がないと楽しめない
- 全く知らない世界なので舞妓さんと接するのは緊張する
……等々
どちらかと言えば、「自分には縁がない」と思われている方が多いかもしれません。
かく言うわたしも初めはそういったイメージを持っていました。
しかし、今回紹介するお店は
- 一見さんでもOK
- 回らないお寿司屋さんに行く代わりに
- 前知識ゼロでも楽しめる
- 舞妓さんもお店の人もフォローしてくれるので緊張しなくても大丈夫
そして、今回取材に訪れたのは、海外のお客様向けに提供されているコースです。
そのため、日本語だけでなく英語にも完全対応しています。
日本人ならネットで検索すればすぐ見つけられるかもしれません。
しかし、外国語で記載された情報は充実してるとは言い難いでしょう。
今後も観光地すべてのサービスが外国語に対応するのは難しいと思います。
そこで、我々日本人が英語にも対応できるお店を知っていれば、
海外からやってくる知人に情報を伝えるだけで役に立てるかもしれません。
Contents
八坂通り 燕楽
今回訪れたお店は東山区八坂通り沿いにある「燕楽」さんです。
花見小路の賑やかさにくらべ、料亭が並ぶとても静かなエリアです。
近くには建仁寺もあるので、四条通から下がって来る場合は、
花見小路→建仁寺境内を通って訪れてみるのもいいかもしれませんね。
八坂通りは料亭が並び、花見小路の賑やかさにくらべ、とても静かな地域になっています。
厳かな雰囲気もあるため、店に入る前から観光とは別の空気を感じられると思います。
今回体験してもらうのはこの二人。
イギリス人のジュリと、フランス人のレオです。
ジュリは日本に来て4年程。
静岡で英語教師をしてから、3年前に京都に引っ越してきました。
現在は舞台芸術の文化を世界中に発信しています。
レオは京都に来て1年弱。京都精華大学に通いながら、京都市動物園で働いています。
滝行や座禅など、日本の文化に積極的に触れてきたジュリに、
もっと日本を知りたいというレオを誘ってもらいました。
建物に入ると1Fのお座敷と庭園に挟まれた廊下を進み2階に案内されます。
2階にはお座敷の広間があり、この日は5組の客が申し込まれていました。
他のお客さんも全員外国人でした。
ジュリ曰く、
1997年に発表されたArthur Goldenの小説「Memoirs of a Geisha」が元で、
日本のお座敷文化が海外にも広がったそうです。
この小説は映画化されただけでなく、邦題「さゆり」として小川高義によって翻訳もされています。
海外から見た日本文化がどう表現されているか気になります。
先ずはお料理から
席につくと先ずは仲居さんが飲み物の注文を尋ねてくれます。
このコースは飲み放題付きです。日本酒、ビールだけでなくワイン等もいただけます。
こういったお店だと飲み物が高いのかなと心配になることもありますが、
申込み時の料金以外には一切かからないのでご安心ください。
そして、コース料理が順に運ばれてきます。
食べられない食材があれば予約時にお店に伝えれば別メニューで対応してくれるので、
ビーガンや宗教上制限がある方でも気兼ねなく参加できます。
もちろん、海外からのお客様にとって日本料理を食べられるというのも楽しみのひとつですね。
男の人でも満足できるボリュームもあり、日本酒もぐいぐいと進んでしまいそうです。
(飲みすぎてせっかくの体験を翌日覚えてなかった!とならないように気をつけてくださいね)
舞妓さんの登場から演舞
そして、お食事が何品か運ばれたタイミングで、
お待ちかねの舞妓さんがやってきました。
今日担当してくださる舞妓さんはふく音さん。
千葉から上京され舞妓歴4年目になる19歳。
さっそく、日舞を披露してくださいました。
京都には祇園甲部、宮川町、先斗町、上七軒、祇園東といった5つの花街があるのですが、
ふく音さんは宮川町からいらっしゃいました。
このコースでは終始、写真や動画の撮影もOK。
SNSへアップしていただいても大丈夫なので、この舞もシャッターチャンスです。
また、自己紹介をしながら、舞妓さんという職業のこと、着物のこと、かんざしのこと。
ひとつひとつ身振り手振りを織り交ぜながら丁寧に説明してくださいます。
話を聞いているうちに「これはどういう意味なのかな?」といった疑問が湧いてくるのも人間の性。
でもご安心ください、この後の時間でその疑問もすぐに解決できます。
舞妓さんと会話を楽しもう
自己紹介も終わったところで、ふく音さんが通訳さんと一緒に1組ずつの座席を回って会話をしてくれます。
もし格式の高い場で、粋をドレスコードとする場だったら、
「休日何しているか」「舞妓は楽しいか」といったストレートな質問は無粋とされるかもしれません。
しかし、この体験では客の率直な質問に対して、とても素直に答えてくださいました。
レオ「もし舞妓さんになっていなかったら何をしていたと思いますか」
ふく音さん「友禅染のテキスタイルデザインにも興味がありました。でも、舞妓になるには年齢制限があることを知ってこちらを目指すことしました」
ジュリ「今後も続けていきたいですか」
ふく音さん「25歳までは(舞妓・芸妓として)がんばります。その後は、芸事の上達具合によって考えます。結婚もしたいですね」
ジュリ「厳しいしきたりもある中で、同年代の人たちをみてうらやましいと思うことはありますか」
ふく音さん「街を歩いていて楽しそうだなと思うことはあります。ただ、普通では経験できないことができていると日々感じています」
体験が終わった後にレオは、この「答えてくれるかなと思っていた質問にも親切に答えてくれたことに感激した」と言っていました。
中学を卒業して目指すひとが多い世界。
舞妓さんそれぞれで、目指すことになったきっかけや今感じ取っていることは違うでしょう。
それを、顔を合わせながら聴くことができる体験は本当に貴重ではないでしょうか。
ふく音さんが他の組を回られている間も、
仲居さんがこの世界について色々話してくださったりと、美味しいお酒と料理をいただきながらもあっという間に時間が進んでいきます。
ふく音さんからいただいた花名刺。シールになっていたのでついついPCやスマホに貼りたくなってしまいますが、こちらはお財布に入れることでお金が「舞い込む(舞妓む)」のだとか(話半ばで食い気味に財布を探り出したことは内緒です)
また、舞妓さんにはファンも多く、かんざしや帯を見れば後ろ姿だけで誰かわかる人もいるのだとか。
阿部サダヲ主演の映画「舞妓Haaaan!!!」を思い出しました。のめり込むと抜け出せない世界かもしれません。
段々と、花名刺もコレクターズアイテムにも思えてきて集めたくなってきた気がします。
写真撮影
舞妓さんがすべての座席を回った後に、
写真撮影の時間が設けられています。
お座敷遊び体験
今回は虎々(とらとら)を体験しました。
ルールは簡単。いわゆるじゃんけんと同じです。
テレビで見たことある方も多いと思います。
歌を歌いながら屏風を挟んで舞います。
そして、互いに屏風に隠れてからが勝負。
タイミングに合わせてどのようなポーズで出るかで勝敗が決まります。
- 虎:四つん這いになるポーズ
- おばあさん(和藤内の母):腰を曲げて杖をつくポーズ
- 和藤内:槍を持って突き刺すポーズ
じゃんけんで言うところの、
虎がグー、おばあさんがチョキ、和藤内がパーの関係性になります。
レオが虎々に挑戦!
舞妓さんに勝つとツーショットチェキがもらえる特典がありました。
しかし、負けたら掛け声とともにビールをコップ一杯ぐいっと飲むことになります。
いっき飲みの掛け声もまた可愛らしいのです。
手拍子をしながら、「ぐいぐいぐいっと♪ぐいぐいぐいっと♪」のコールが。
飲み終わった後には「お兄さんは、お強い」と言ってもらえます。
(チェキも欲しいけどビールを飲むことになるのもいいなと思った次第です)
やはりこの時間が一番盛り上がりますね!
他のお客さんもノリノリで、笑顔の絶えない時間でした。
プログラムの終了
ここまでで一通りのプログラムは終了です。
舞妓さんと別れを告げたのがおよそ20時なのでちょうど2時間。
この日は20時半までゆっくりしていいということでした。
みなさん余韻を噛みしめるかのようにさっきまでの体験を肴に、
もう一杯お酒を飲まれていたようです。
一般的には5万円以上するお座敷遊びですが、
今回は大人19,000円のコースでした。
周りのお客さんは中高齢層の方が多く、ちょっと贅沢な観光旅行といった様子。
20代半ばのジュリとレオにとって貴重な体験だったのではないでしょうか。
ジュリが「舞妓さんという職業は、女性に限らず男性にも広がらないのかな」と言っていたのも印象的でした。
おそらく日本国内ではこの議論は賛否を呼ぶでしょう。
ただ、海外の方がこうやって日本文化に触れることで、
新しい文化を生み出してきた歴史もあります。
舞妓さんに思ったことを質問し正直に答えてもらえたので、
こういった素直な感想も生まれたのかもしれません。
もし、日本人のあなたも興味があるようでしたら、
外国人の友達を誘い一緒に体験してみてはいかがでしょうか。
普段見慣れていたはずの京都を、違った視点から見ることができるかもしれません。
その際はこのレポートを参考にしていただければ幸いです。

体験プランの詳細
お座敷体験プランEnchanted Time with Maiko
毎週火曜日、木曜日、日曜日の午後6時から午
お食事は八坂通り燕楽のコース料理
▼詳細とご予約はこちらから
https://www.travel-kyoto-maiko.info/
「八坂通り燕楽」
住所:京都市東山区大和大路通四条下る東入小松町594−3


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