第七回 京都の桜
日本人はこの時期になると心が浮き立つ人が多いのではないでしょうか。
お花見の季節が近づいて来ましたものねぇ。
桜の名所の多い京都ではひと春で、すべてを巡るのは不可能です。
「今年はこことあそこで、来年はあそこに行きたい。」と考えている京都人が多いようですが、その一方で毎年、見るのを楽しみにしている定番スポットをお持ちの方も多いようです。
私にとっての定番スポットは、実家から自転車や歩いて行くことができた円山公園(八坂神社の東)でしょうか。
円山公園には有名な「枝垂れ桜」があり、子供の頃の記憶では(地面から少し高い所に植えられていて)、上から覆いかぶさるようなボリューム感があったのを憶えています。
一時期、木の勢いが衰えてしまい危ない状態になったと聞きましたが、桜守の佐野藤右衛門さんらのご努力によって、少し持ち直してきたようです。
他府県から来られた方が、「有名な円山公園の枝垂れ桜というけれど、たいしたことないじゃん。」といわれているのを聞くと、「昔はもっと、凄かったんです。」と言いたいです。
桜というと一般には「染井吉野」をイメージされると思いますが、私にとって京都を代表する桜は「枝垂れ桜」ですね(新聞やテレビなどの花だよりも「染井吉野」が基準ですが)。
「染井吉野」は咲く時には一斉に咲くので、並木道や沢山の本数がある所で華やかな感じになります。
それに比べると「枝垂れ桜」は木によって個性があり、「染井吉野」よりも一週間くらい開花が早い木や二週間くらい遅い木など様々です。
柳のようにしなやかな枝は女性的でピンクの花びらもその雰囲気によく合っていると思います。単独でも人の目を引きつけられる大きな「枝垂れ桜」が京都のいろいろな所にあり、京都人の心を癒してくれています。
京都の桜の特徴として、豊臣秀吉ゆかりの桜とか、**天皇ゆかりの桜などのように歴史の場面の目撃者としての側面を持っている桜も多いですね(歴史好きの人はより京都の桜を楽しめるかもしれません)。
昨年の見た京都の桜で美しさが印象に残ったのは「インクラインの桜(蹴上)」・「哲学の道の関雪桜(少し満開を過ぎて、花びらが疏水の水面に落ちた頃が好きです。)」・「平野神社(昔からの桜の名所)」・「背割提の桜(八幡市の御幸橋)」でしょうか(4ヵ所とも見学無料の所です)。
日本人には桜は特別な花のようです。
ご高齢の方はお花見をして、「あと何回、桜の花を見られるのか。」と考えられるそうです。
私も最近、親しい人が次々とあちらの世界へ旅立ってしまい、そんなことを思うようになりました。
京都の桜シーズンの先駆けになるのは「河津桜」ですね。
三条大橋の西詰の所に「河津桜」があります。
この桜が満開になると伏見区の淀の水路沿いの「河津桜(約200本)」も満開でしょうか。
3月中頃に満開なることが多いようですが、桜は年によって開花時期がかなり違う事があるので、言い切れません。
淀の水路沿いでは「菜の花」も桜の花の下で咲いているので、インスタ映えするかも。
また、この頃には「メジロ(ウグイス色の鳥)」がよく飛んできていて、心が癒されます。
その後は、京阪出町柳駅叡電口前近くの、やはり早咲きの長徳寺の「オカメ桜」が、そしてその後は、(寺町通)本満寺の有名な早咲きの「枝垂れ桜」が咲きます。
最近は中国の観光客の人が、満開の頃に沢山来られます。
この「枝垂れ桜」が咲く頃には京都御苑の近衛邸址の「糸桜(枝垂れ桜)」が東から西の方に順に咲いていきます。
一番早く咲く東側の「糸桜」が満開になる頃には、ようやく市内の「染井吉野」が咲き始める頃でしょうか(他にも京都に沢山の有名な桜がありますが、書き切れません)。
京都人はそれぞれの標準木や基準木を持っています。
また、京都御苑にはいろいろな種類の桜が植えられており、桜の花を1か月近く楽しむことができます(10月桜もあり、この桜は冬の間、咲いています)。
ようやく、暖かくなってきて、京都の街歩きをするのにもいい季節になってきました。皆さん、京都を歩いてみませんか。観光ガイドの仕事は二種類のタイプがあります。それは受注型と募集型です。私は二種類ともしています。受注型の仕事は例えば、旅行社などから「この団体さんのバスを二条城でお迎えして、あと清水周辺をご案内してください。」というような依頼で、募集型の仕事は例えば、「清水寺周辺を二時間ご案内します。」というような形で参加者を募集する形をとります。
4月から6月にかけて「TORAPA」さんという所で募集型の街歩きツアーを6回催行予定です(現地集合のツアーです)。京都とTORAPAの二つのキーで検索してみてください。また、ツアーのテーマ以外のご質問も私のわかる範囲でお答えしますので、どうぞ、皆さんの御参加をお待ちしています。
京都で旅のPARTYを「TORAPA 」

辻井 輝幸

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