第十三回「今だから話せる事」
今回は、私が京都で体験したことを書いてみたいと思います。
ダイアナ王妃ご訪問の舞台裏
1986年にチャールズ皇太子とダイアナ王妃が京都をご訪問されました。
京都市の岡崎にある日図デザイン博物館を見学されています(現在は建て直され、みやこメッセ内にあります)
ご見学された後、1時間後くらいに私はその場所に行きました。
その付近の警備の方とお話しすると、「訪問されるずっと前の時間から、警察関係かどうかわからんけど、身元のしっかりと分かった関係者の家族で固めて、部外者をダイアナさんに近づけないようにしてたで。」
と。
さらに、
「朝から、何度も花束を渡すリハーサルをしてたわ。」
と言われました。
実は来日後、ダイアナさんは「いつも、日本式なのね。」と、一般市民と触れ合う機会がないことに不満を漏らされていました。
そのためでしょう、一般市民が花束を手渡すというハプニングを関係者の方が演出されたようです。
その日の夕方や翌日のニュースでは「一般市民がダイアナさんに花束を渡すハプニングがありました。」
と伝えていました。
今なら言ってもいいですよね。ダイアナさんも喜ばれたようですし。
当時は「日本のマスコミはこんな演出も見破れなくて……。」と思ったものですが、今考えるとひょっとすると、各マスコミは話し合って、演出を知らなかった事にして報道したような気もしてきました。日本中の人がこのニュースでほっこりと和んだのですから。そうだとすると、私は余計なことを今書いていますか?失礼しました。
その後、私は車で白川通を北行していました。「なんか、対向車線が変(対向車がいない)」という事に気付きました。
そうです。反対車線はチャールズ皇太子とダイアナ妃の車が通られるので、通行止めにしていたんですね。
そして、中央分離帯を挟んでお二人の乗られた車と数メートルの距離ですれ違いました。
当時、私の視力は2.0あったので、フロントガラス越しにお二人をはっきりと視認できました。修学院離宮を見学された帰りみたいです。
あの時、警備上は反対車線も通行止めにした方が良かったと思います。
中央分離帯の切れ目からお二人の乗られた車に正面衝突させようと思えば、できるタイミングでした。
こちらの車線には他にも何台も走っている車がいたので、私が間違って通行止めの車線に入った訳ではないと思います。
レッドカーペットを通ったのは芸能人ではなく……
今から、30年以上前にある国の国王ご夫妻が、ほとんどお忍びに近い形で京都に来られました。
その国王ご夫妻来日がいつだったのか、確かめようとネットで検索したのですが出ていないので、この場では、どこの国の国王かを明らかにするのは止めておきます(何か事情があるのでしょうね。ま、想像はできますが……)。
京都のある一流ホテルに宿泊されたわけですが、私はそのホテルに居合わせました。
実は関係者から情報を得ていて見に行ったのですが。
ほとんど、お忍びに近い形なので、ホテルの玄関には温泉旅館によくあるような「歓迎 〇〇国王ご夫妻御一行様」というような札はありませんでした(スミマセン、冗談です)。
そのホテルのロビーから玄関を出て車に乗られる所まで、レッドカーペットが敷かれていました。
20メートル以上あったでしょうか。ロビーには6~7人のホテルのスタッフと私がいたのですが、そこに50代くらいの一般女性客3人がやってきます。
そのグループの一人が「奥から誰が出てくるのかしら?」という感じで覗き込みました。
その時、その女性の靴が10センチほどレッドカーペットの端を踏んでしまったのです。
すると、ホテルのスタッフたちはカーペットを丸めて片づけだし、そのおばちゃんは「私、何かしたのかしら?」という感じで、どこかに去ってしまいました。
「おばちゃん、何すんねん。」とは一流ホテルですから、スタッフが言うはずもなく(心の中では思っていたかもしれませんが……)、無言で粛々と素早く、行動されたのでした。
カーペットを丸めて片づけた後、寸分たがわず同じ位置に予備のカーペットを敷かれたのが、2分もかかっていないくらいの早さです。
あまりの手際の良さに、私は拍手したいくらいの気持ちになりましたねぇ。
そして、その直後何事もなかったかのように国王ご夫妻は外出されたのでした。
皆さん、レッドカーペットと言っても、必ずしも芸能人が歩くとは限りません。気軽に踏まないでくださいね。
VIPの事に詳しい方に伺うと、大事なお客様には常に予備を用意して置くものだそうです。
そう言えば、国王ご夫妻が乗られた大型のアメ車のすぐ後ろにも予備の大型車がついていました。その前後には護衛車と思われる2台の車も。それにしても、無防備な感じでした。こんなこともあるんですね。

辻井 輝幸

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