京都みなみ会館の一時閉館までを追う「みなみ会館の思い出は語り尽くせないほどあるが語らずにはいられない」。
第3回は、みなみ会館のオールナイト上映を企画したこともある、建築家の和田寛司さんにお話を伺いました。

―和田さんは建築家として活動されているんですよね。
はい、そうなんです。みなみ会館の職員ではありませんよ。
建築家を志したのは、自分が高校生のころにあったカフェブームがきっかけです。
―カフェブームがあったんですね。
生まれも育ちも京都なのですが、高校時代に急にカフェが増えました。そこでカフェを巡っているうちにいろんなインテリアに興味を持つようになったんです。
―お仕事ではどのような建築をされているのでしょうか。
建築事務所を立ち上げて、今はふたりで活動しています。建築の設計のみならず、施工などの工事も自分たちで行っているのが特徴です。
おもに京都の建造物を担当することが多いですが、他府県もありますよ。
―本職は映画とは別なんですね。映画とはどのようなつながりがありますか。
学生のころは金曜ロードショーで映画に触れる程度でした。それが、高校1年生のときにオダギリジョーさんが主演した映画『アカルイミライ』を観て衝撃を受け、映画館にも行くようになりました。この映画には、浅野忠信さんや加瀬亮さんらが出演されていましたよ。
―高校生のときからひとりで映画館に行っていたんですね。
当時は浅野忠信さんの出演作を観たりしていました。
今は仕事もあるので1年に数えるほどしか映画館に行けていませんが、そのときの気分によって観る作品を決めたりしています。
Netflixなどで観ることもありますよ。
―ぜひ、好きな映画を教えてください。
アキ・カウリスマキ監督の作品は好きです。とくに『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』(1990)はヨーロッパの街並みや喫茶店が素敵でした。
やはりロケ地やセットといった建築物などに目を向けてしまいますね。
―他にも好きな作品はありますか。
趣味で、怪談を蒐集(しゅうしゅう)しているのもあって、ホラー作品も観ます。映画『貞子vs伽椰子』(2016)はオチに驚かされました。監督を務めた白石晃士さんの作品が好きです。ホラーは怖いだけの作品よりも、クスっと笑えるようなギャグ要素があるものが好きなんですよね。
あと、ミュージカル作品が苦手だったのですが、『ロシュフォールの恋人たち』(1967)は好きになりました。これはみなみ会館で観た覚えがあります。
―みなみ会館では、オールナイト上映の企画や出演もされていたとか。
「観て、聞いて、食べる! 夜の昆虫映画ひみつ上映会」をやりました。昆虫食を食べながら映画を観る一夜でした。
昆虫食も意外とイケるな! と思ったのですが、上映外後に食べた朝食のパンがめっちゃ美味しくて、やっぱり昆虫は1位にはなれないものだなと痛感したのが思い出です。
ほかにも、みなみ会館でDIY (Do It Yourself) に関するイベントをしたこともあります。
―みなみ会館が新しくなったら、またイベント楽しみにしています!
そうですね。ぜひやりたいです。
みなみ会館のようなミニシアターは、そこにしかない独特の空気感があって、静けさが好きでした。今までに挑戦したことのないジャンルの映画もいろいろ観ました。
映画は、予備知識なく観ても楽しむことができて、ひとりでも、誰と観てもその場の人たちと一体感が生まれるところが好きです。一時的にでも閉館してしまうのは寂しいですが、新しく生まれ変わることを楽しみにしています。
いよいよ31日に、京都みなみ会館は一時閉館します。
最終回は、閉館の様子をお届けする予定です。次回もお楽しみに!
京都みなみ会館
【住所】〒601-8438 京都市南区西九条東比永城町78
【アクセス】京都市バス「九条大宮」降りてすぐ
近鉄「東寺駅」から徒歩2分
【公式サイト】http://kyoto-minamikaikan.jp/

