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こんなディープな世界があったのか『第4回中書島紅白歌合戦 – 歌基地』

米本 和弘

みなさん、最近NHK紅白歌合戦を観ていますか?

かつては最高視聴率81.4%を記録し大晦日の風物詩となった番組も、音楽の流行や生活スタイルが激変した近年では観る人の数もだいぶ減ってきているようです。

冬休み明けの教室で「サブちゃんの鼻の穴に紙吹雪が吸い込まれてったね!」「引きの画だと幸子がどこにいるかわからなかったね!」「若大将が仮面ライダーを呼び込んでたね!」といった会話で盛り上がったのも懐かしい思い出です。

そんな、NHK紅白歌合戦とは別に、ここ数年、京都で大盛況を博している紅白歌合戦が開催されているのはご存知でしょうか。

その名も「中書島紅白歌合戦」
スナックが立ち並び、昭和の香りが残る京都市伏見区の中書島で毎年開催。人気歌手に扮した参加者たちが歌い乱れ、飲み乱れ、入り乱れるこのイベントは、今年で第4回を数え、”あなたの中のフェニックスを愛でる”をモットーとした中書島フェニックス委員会が企画運営されています。

舞台となるのはNHKスタジオではなく、中書島のアポロシアターこと『延歌スタジオ 歌基地』
本格的なセットと音響施設を備え、このステージを経てプロの演歌歌手として活躍している人も多いとか。ミラーボールもキラキラと輝くそんな贅沢なステージで、今宵はファンキーでドープな宴が開催されます。

 

前半パート「中書島vs出町柳」

前半パートは元祖紅白歌合戦さながらに、中書島勢vs出町柳勢のガチンコ勝負。
ここでは男女ではなく、京都のディープスポット中書島と出町柳界隈の人々が2チームに別れて対決します。

誰もが知っているような(偽)有名人たちが続々と登場。この人、ほんと素人か?と思うほど煽りも達者な人も。

「嵐 – A・RA・SHI」

トップバッターは国民的アイドルの嵐。演目はデビュー曲のA・RA・SHI、懐かしいですね。ユアマイソーソーのやつですね。出演者たちはこの伝説のお衣装のネタバレを防ぐために、30分以上前から2階席の奥でしゃばみながらスタンバッていました。出落ち必死の彼らも、お客さんの暖かい声援に助けられ無事紅白歌合戦の幕を開くことに成功。

スイッチの入った会場はここからカオスの渦に巻き込まれていきます。

「THE ALFEE – 星空のディスタンス」で高見沢が躍動。後ろの壁に貼ってある「ちから強く生きていますか。」のポスターがじわじわきます。大丈夫、ここにいる人たちはみんな、ちから強く生きています!

「キャリアウーマン – ブルゾンちえみ」
2017年日本で行われた忘年会で一番披露されたであろう宴会芸。こういうのは絶対に外してはいけない、本当に盛り上がるんです!大学生が体を張って演じてくれた、大人顔負けの高いクオリティ。この経験は社会人になっても活かされることでしょう。それにしても脱ぐやつ多いな!

「橋幸夫 – メキシカンロック」
ステージに上がる前、この方は「練習していないからちゃんと歌えるかわからない」といいつつこのノリノリの表情!さすがです!この舞台にはスパンコールのキラキラが合いますね。

「船木一夫 – 銭形平次」
舟木一夫というか銭形平次による銭形平次です。銭形平次(曲)が先か、銭形平次(姿)が先か。選曲が決まる瞬間から、衣装合わせまでの過程を想像すると二倍楽しめます。発想としてはものまね紅白でもなく、欽ちゃんの仮装大賞ですね!

「キャンディーズ – 年下の男の子」
華の三人娘の登場です。お揃いの衣装はステージ上で映えますね!モニターに映った「私の事 好きかしら はっきりきかせて」の歌詞の下には「好きだけどさ」の文字が。奇跡の瞬間。

「杏里 – オリビアを聴きながら」
杏里に似てる!衣装や身振り手振りの雰囲気で表現していく参加者が多い中、貴重な「素の状態で似ている」パフォーマンスです。

「シャネルズ -ハリケーン」
若人ふたりを両端に引き連れて、鈴木雅之が登場です。動画をお見せできないのが残念なほど、振り付け、歌共に素晴らしいパフォーマンスでした。映像の鈴木雅之とシンクロ率が100%になる瞬間が多々発生していました。

「石川さゆり – 天城越え」
最後は2017年のNHK紅白歌合戦でも紅組のトリを務める、石川さゆりさんの登場です!着物がお似合いかつ、この方は歌が超絶に上手い!声量が素人のそれとは別次元です。スタジオの素晴らしい音響の力を最大限に発揮する圧巻のパフォーマンス。

後半戦開始!カオスな世界観に突入

前半戦の対決も終わり、後半パートはバトルロワイヤル形式。我こそはと名乗りを上げる強者たちが次から次へと舞台で歌います。なお、このイベントは参加者全員が歌う事ができます(観るだけもOK)

歌っている人たちの気持ちよさそうな顔。それもそのはず、目の前には多くのお客さんが暖かい眼差しで見守ってくれています。お酒は飲み放題、料理も歌基地名物のカレーやおでんなどお腹いっぱいいただくことができます。

大勢の声援を受けながら歌える機会はそうはありません。歌って楽しい、観て楽しい、飲んで食べて楽しいの三拍子。この空間は他では味わう事ができませんね。

歌基地名物のカレー。腹が減っては戦はできず!

後ろの座席までぎっしりとお客さんがいます。立ち見も現れるほどの大盛況、不景気なんてどこふく風です。

VIP席(+1500円)からの眺めはとっても贅沢。歌いたいときに歌える割り込み自由制度、飲み物は注文すれば持ってきてもらえるし、下界のメンバーにお気に入りが見つかれば、2階に呼び寄せることも可能だとか。貴族の遊びが堪能できます。

!?

なんかいます!
クセの強い人たちに混ざって、アクの強い設定のキャラクターが!
誰や……

案山子でした。

後ろからの景色。磔にされているようでもあります。もはやコンセプトがわかりません。ただひとつ伝わってくるのは、彼女は「本気」だということ。聞くところによると、このイベントに参加するのは初めてとのこと。いや、これ、初めてで挑戦するやつちゃうやろ。大型新人現れた感すごい。この日一番の人気者になっていました。

全力投球のクリスタルキング

( ゚∀゚)o彡°おっくせんまんおっくせんまん

クリスマス前なのでサンタコスも。

ヒョウ柄は関西人のドレスコード。

世界平和もそう遠くないのかもしれない……

装備を忘れても安心

勢いで参加してみたものの、他の参加者たちがガチすぎて浮いてしまう……そんな心配も無用です。会場では変身グッズの販売やレンタルが行われていました。この場で変身し、誰でも紅白の出演歌手になれます。ガチ勢を恐れるな!

受付ではセクシーになれる仮面も販売されていました。

何故かライトセーバーも大幅値引きのセール価格で販売されていました。

宴は続く

このイベントは4時間30分の長丁場です(途中の入退場可)
入れ替わり立ち替わり、ステージ上で歌う人たち。掘り下げたらきりがなさそうな人たち。ライター泣かせの人たち。
その誰もが活き活きしているのが印象的。

 

グランドフィナーレ

いつまでも終わらないのではないかと思うほどの熱狂が続く中、23時を迎え最後の曲となりました。
紅白のラストといえば!蛍のひか……ではなく、「サライ」です!ここにきて24時間テレビの様相を醸し出す辺りが憎い演出。参加者全員で輪になって歌いました。

第4回中書島紅白歌合戦も大盛況の中、幕を閉じていきます。他では味わえない体験。かくいう私もハマってしまいました。来年また行われるとすれば、参加することを強くおすすめします。この場でお会いできるのを楽しみにしています!

第四回中書島紅白歌合戦

 

延歌スタジオ 歌基地

【店舗HP】http://www.sakusaku.jp/utakichi/
【住所】京都府京都市伏見区西柳町550

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米本 和弘
マーケティングコンサルタント、Webクリエイター、ライター。広告代理店に勤めたのち独立。THE読書ズ、ニジノ絵本屋スタッフとしても活動中。

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